1 ツルは出水へ−出水への一極集中
鹿児島県、出水の平野を越冬地として、毎年秋になると、
繁殖地のシベリヤ東部アムール川周辺や中国北東部などから、
順次約10000羽のナベヅル(世界中の8〜9割)、
約2000羽のマナヅル(世界中の5割前後)などが渡って来る。
しかし、それがため、
ツルたちは大きな危険に曝されているのである。
出水では、
狭いねぐらにひしめき合うようにして越冬しているので、
一旦、伝染病が発生するや、
病気がねぐらのツルたちに一気に蔓延し、
絶滅につながることが危惧されてきた。
そこで、ナベヅル・マナヅル分散のための努力もなされ、
日本野鳥の会や佐賀県伊万里市などの協力で、
今日では、朝鮮半島から出水への渡りのメインルートにあたる
伊万里市の長浜干拓地で越冬するマナヅルもでるに至っているが、
出水の一極集中が改善されないままである。
2 出水のツルがピンチ!-強毒性の鳥インフルエンザ発生!!
そんななかで、昨2010年、
10月-北海道稚内大沼にて、
野生のカモの糞から高病原性鳥インフルエンザウィルスを検出、
11月-島根県内の養鶏場にて、
同ウィルスに感染した鶏が発見され2万羽が殺処分に、
12月初旬-鳥取県で、コハクチョウから同ウィルスが、
12月中旬-富山県で、コブハクチョウから同ウィルスが検出された。
ついには、鹿児島県の出水でも、
12月中旬-ナベヅルから強毒タイプの同ウイルスが検出され、
12月下旬-マナヅルからも同ウィルスが検出されるに至った。
3 出水のツルたちを救え!!
鳥インフルエンザの感染が広がれば、
鹿児島県や近隣の養鶏農場への影響も心配され、出水市では、
交通規制や場所によっては車両消毒マットの通過を求められる外、
ツル観察センターも臨時休館となるなど、
ツル見客等の観光への影響も出ているという。
一日も早く、ウィルスの広がりが収束し、
あの壮観なツルたちの群舞や群れを間近に見られる
ツル観察センターの開館を願うや切である。
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