8月10日、
臓器提供の意思を書面に残さなかった脳死患者の臓器移植が、
その家族の承諾により実施された。
昨年2009年7月成立した改正移植法の施行から3週間あまり、
改正移植法に則った初めての臓器移植である。
臓器移植後進国日本における貴重な第一歩である。
今回の脳死患者は、20代の男性で、
交通事故によって脳死状態になった方とのことである。
本人の意思確認事実として伝えられていることは、
家族で臓器移植関連のテレビ番組を見ていた際に口にした
臓器移植の意思表示であったとのことである。
あまりに早すぎるその死の前で家族の悲しみは、
いかばかりのものであったことだろう。
家族の決意を支えたものは、生前の本人の意思であり、
そして、本人だけでなくその家族の方々の、
「死」を他者の「生」につなげたいとの思いであり、
決断と勇気であろう。
患者の
心臓は大阪へ、
両肺は岡山へ、
肝臓は東京へ、
腎臓と脾臓は群馬と愛知へ、
生命と健康が危機にさらされている患者のもとへ運ばれた。
ついえてしまったかけがえのない命のバトンが、
10代から60代の男女5名もの患者の命と健康に渡された。