硬膜外麻酔時の手技ミス−硬膜穿刺事件〜18号(2000年8月7日)弓仲

★★ 産科医療過誤で和解解決 ★★ 
 東京都内の某有名産科A病院での医療事故につき、勝利的和解による解決を実現。

1 Yさんは、1992年7月、A病院で、長男を出産。  着ぐるみ赤ちゃんA.GIF

注射器E.GIFその際硬膜外麻酔時の手技ミス(硬膜穿刺)のため、

麻酔針により硬膜に穴を開け、針が脊髄に達した。

馬尾神経の物理的損傷と、頭痛予防のために注入したという

ステロイド剤による馬尾神経の科学的損傷が組み合わされ、

術後、徐々に馬尾神経の癒着(癒着性くも膜炎)を惹起した。

出産後1ヶ月位後から、

Yさんは、左下肢後面(左臀部、左大腿部、左足先、左足裏等)の継続的な強い痛み

を訴えるようになった。

次第に、その疼痛が激化し、

育児などの日常生活も満足に送れない事態に立ち至った。

その激しい痛みを除去するため、

K病院で、癒着した馬尾神経の修復手術を受けたところ、

痛みは軽減できたものの、新たに、膀胱直腸障害を惹起した。


2 証拠保全手続きを経て、

A病院と交渉したが、A病院は、その責任を認めなかった。

1995年12月、A病院を相手取って、

約9,000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に提起した。


3 訴訟では、

病院A.GIF産科の有名病院であるA病院に、

本件当時麻酔科の専門医はおらず

産科の医師が、麻酔を行っていたことが明らかになった。

更に、担当医師の証人尋問、原告本人尋問、

双方からの鑑定意見書の提出などを経て、

誤って硬膜穿刺に至ったこと自体の問題に加え、

硬膜に孔をあけた後の措置の誤り(ステロイド剤の安易な注入による神経損傷)、

更には、膀胱直腸障害などK病院でのやむを得ない手術の後に生じた被害も

A病院の硬膜穿刺及びその後の措置(ステロイド剤の注入)と因果関係があること

−が明らかにされた。


4 結局裁判所から最後に提示された、

膀胱直腸障害を含む後遺症についてまでA病院に責任があることを前提とする

和解案(和解金5,500万円)を双方が受諾して、

本年4月、右訴訟は和解で解決した。

この訴訟の経過を踏まえ、

A病院には、現在、専門の麻酔医が勤務することになっているということである。


Yさんには、未だ辛い後遺症が残ったままではある。  赤ちゃんと母@.GIF

だが、当初責任を否定していたA病院に責任を認めさせたうえ、

麻酔医の勤務が実現したことを聞いて、

Yさんご夫妻は、長い闘いのために苦労した甲斐があったと

ほっと一息ついているところである。

 

【 追 記 】 

 奇しくも、ほぼ同時期、同じA病院を相手に、

医療過誤事件の解決にあたった当事務所の元倉弁護士の事件はこちらに紹介。

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