ノーベル賞受賞者は、多くの日本人にとって、
かなり昔から「天才」と同義である。
だが、「ただの」天才ではない。
「ただの」天才なら、日本人全体がここまで興奮しない。
日本人が興奮するのは、ノーベル賞受賞は、
「世界的」天才とのお墨付き、もっと厳密に言うと、
日本が「欧米列強」に負けない頭脳をもっていることの「証し」
と感じるからではなかろうか。
日本人の「欧米列強」へのコンプレックスは、
戦前の日本はノーベル賞とは無縁で、
日本人初のノーベル賞受賞は戦後まもない1949年となる。
湯川秀樹教授ノーベル物理学賞受賞は、
敗戦でボロボロになり自信も誇りも喪失していた日本人に、
衝撃的な激励を送ってくれたに違いない。
その後、日本人のノーベル賞受賞のたびに日本中が沸いたものだが、
昨年10月の山中伸弥教授ノーベル生理学・医学賞受賞のニュースは、
とりわけ日本人を興奮させ、励ましてくれた。

2011年3月11日の東日本大震災・福島原発事故は、
直接的な被害の甚大さ・深刻さ、のみならず日本経済にも大打撃を与えた。
あれから一年以上たち、
経済もほんの少し立ち直りかけていたところに、
韓国・中国との領土問題が勃発した。