1 民主党税制調査会は、昨年末、
出席した野田首相の深夜までの執念の説得を受け、
2014年4月に8%、2015年10月に10%とする
消費税増税案を決定した。
その際、野田首相の意向と慎重派議員との妥協策として
「公務員人件費や議員定数の削減を実施したうえで
消費増税を実施する」ことが盛り込まれた。
弱者収奪の逆進性や経済の足腰の弱いところに消費増税が重なれば
個人消費を冷え込ませることなど消費税自体のはらむ問題は多いが、
ここでは、議員定数削減論のまやかしについて一言。
2 現在の衆議院議員選挙は、
小選挙区(定数300人)、比例代表(定数180人)の
小選挙区比例代表並立制で行われている。
小選挙区では、少数政党が議席を得るのは大変困難であり、
民意を正確に反映する比例代表が重視されるべきである。
しかし、導入当初200人であった比例代表の定数は、
既に20名減らされて現在180人となっているにもかかわらず、
野田首相の率いる民主党は、
衆議院比例定数の80削減を主張する。
「議員自らが身を削る代わりに消費増税を!」
というのが、野田首相・民主党の論議なのである。
消費税増税を後押しするマスコミ論調も、
「国民の理解を得るために国会議員も身を切るべきだ」などという。
そもそも、国会議員の議席・地位は議員個人のものではなく、
民意を国政に反映させるためのものであるはずである。
最も民意を反映する比例代表の定数を削ることは、
民主主義の基礎であるその民意を削ることにほかならない。
国会議員が勝手に切り売りすることなど許されない。
しかし、残念ながら、
この点に触れるマスコミ論調にはお目にかかったことはない。
まやかしの議論にくみするのではなく、
「比例」削減が民意の切り捨てにつながることへの警鐘乱打こそ、
言論人の責務である。
3 少しは期待もした政権交代であったが、