たんぽぽ法律事務所

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交通事故で頸髄損傷、被害者夫妻が勝利的和解
保険会社の「詐病」呼ばわりを打ち破る!

 交通事故の発生と被害者夫妻の負傷  

2002年8月、寿司職人(店長)のAさんは、

愛車(左ハンドル車)助手席に妻B子さんを乗せ、

休日のドライブを楽しんでいた。

交差点で信号待ちをしていたとき、

後続車両の玉突き衝突に巻き込まれ、2度にわたり追突された。

1回目の追突直後、反射的に、

Aさんは右肩越しに体をひねり、B子さんは左肩越しに体をひねり、

それぞれ後ろを見た次の瞬間、さらに激しい追突の衝撃を感じた。

B子さんは、

意識を失い、救急車で病院に運ばれ入院。

その後意識は回復したが、横になっていること自体が苦しく、

首や腰の痛みに加え胸腹部全体にも痛みがあるなど

そのよう病状は悪かったにもかかわらず、

レントゲン・CT等では異常所見はないとのことであった。

Aさんにも、

首の痛み、頭痛等の症状はあったが、

レントゲン・CT等では他覚的所見はないとのことであった上、

当時店長として店を任されていた責任もあり、

入院せずに仕事に出ざるを得なかった。

結局、最初の病院では、AさんもB子さんも、

全治2〜3週間程度の頸椎捻挫(いわゆる鞭打ち症)

と診断された。

 転院と保険会社の治療費打ち切り通告

Aさんには、

首の痛み、頭痛、吐き気、左上下肢の痺れなどの症状が続き、

寿司を握るには不自由だったが、店長として仕事は休めず、

勤務先近所の病院に転院し通院を続けた。

そこでの診断の結果、

頸椎捻挫に加え、頸椎第7横突起の骨折も判明し、

左上肢の知覚異常、知覚鈍麻が認められた。

他方、B子さんも、

間もなく自宅に近い病院に転院し、

引き続き通院治療(投薬、リハビリ等)を受けたが、

首や腰の痛みの外、右上下肢に筋力低下が認められるなど、

状態は改善しなかった。

 

二人ともこの交通事故以前は、

何の問題もない健康な働き者であったにもかかわらず、

この交通事故以後、生活が一変し、

首の痛み上下肢の痺れ等で、従前の健康で楽しく明るい家庭は暗転した。

事故から半年過ぎた2003年2月、

加害者の加入する保険会社は夫妻に対し、

頸椎捻挫(鞭打ち症)の通常の診療期間を超えており

夫妻とも既に症状固定であって、

以後の治療費は保険では支払えないと一方的に通告した。 

保険会社は夫妻の肉体的精神的苦しみを無視し、

冷酷な打ち切り通告をしたのである。

さらに、加害者の保険会社は、

2003年8月、夫妻を相手取り、加害者を申立人として、

同年2月には既に症状固定していることを前提に、

簡易裁判所に債務不存在確認の調停を申し立てた。

2004年11月、加害者の保険会社は、東京地方裁判所に、

Aさんにつき68万円余、B子さんにつき63万円余を、

各超えては損害賠償債務が存在しないことの確認

を求める訴訟を提起した。

この保険会社側の提訴は、

Aさん、B子さん夫妻の引き続く肉体的苦痛を「詐病」か、

本件交通事故とは別の原因によるものと断じた。

 大学病院で頸髄損傷との診断

他方、その後も、夫妻の病状は良くなることはないまま、

自費での通院治療を続けたが、

特に妻B子さんには、

横になると呼吸困難に陥るなどで座ったままで寝るしかない状態になったほか、

頻尿や残尿感など膀胱の障害が本件事故後に生じるようになっていた。

B子さんは、2004年に至り、C大学病院での検査の結果、

呼吸筋不全麻痺による臥位続発性肺胞低換気症候群(呼吸器内科)、

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脊髄上部の障害が強く疑われる神経因性膀胱

(泌尿器科でのウロダイナミクス検査)

との診断を受けるに至る。

C大学病院の整形外科では、

B子さんに事故後生じていた上下肢の筋力低下

呼吸器内科及び泌尿器科での前記診断を総合し、

B子さんに「頸髄損傷、四肢不全麻痺」との診断を下した。

現在、B子さんには、

頸髄損傷による右上肢機能障害、体幹機能障害(坐位又は起立時保持困難)」

による1級の身体障害者手帳が交付されている。

また、夫のAさんも改善傾向が見られないので、

2005年に、C大学病院整形外科及び泌尿器科の診察を受けたところ、

Aさんにも、ウロダイナミクス検査により神経因性膀胱膀胱直腸障害が認められた。

また、整形外科での検査で、Aさんの両上肢の筋力低下も確認され、

最初の病院では異常なしとされていた事故直後の頸部CT写真の読影で、

前記頸椎の骨折部位に異常所見が指摘され、「頸髄損傷」との診断が下された。

現在、Aさんには、

頸髄損傷による四肢機能障害

による3級の身体障害者手帳が交付されている。

東京地方裁判所での前記訴訟は長期化したが、

2006年には、Aさん及びB子さんからも、

前記「頸髄損傷」の診断を根拠として、損害賠償請求の反訴を提起した。

4 医師の証言等

東京地方裁判所では、

C大学病院の整形外科医、呼吸内科医及び泌尿器科医を

証人として所在尋問(病院への出張尋問)を行い、

夫妻の病状及び上述の各診断について、3名の医師の証言を得た。

被告側の保険会社のD医師は意見書を提出し、

事故直後の病院でのレントゲン・CT等の読影や診断で

「頸髄損傷」が指摘されていないことなどを根拠に

夫妻の「頸髄損傷」を否定し、

二人について、早期に症状は固定している、

現在の症状は本件交通事故とは無関係の原因によるもの

と主張した。

さらに、D医師は、現症は、

「心因性のもの」、

「徒手筋力検査は被検者がわざと力を入れなければ低く出る」、

「知覚検査は100%本人の申告に基づく」などと

「詐病」呼ばわりまでして、夫妻の後遺障害を否定した。

 裁判上の和解成立

本件訴訟は、5年余の審理を経て、昨2010年7月に至り、

裁判所の和解勧告に基づいて協議がまとまり和解解決した。

加害者(保険会社)は、

Aさんに対し、1950万円、B子さんに対し、950万円を支払った。

後遺障害について、

Aさんについては、

事故直後のCT写真を読影したC大学病院整形外科医の証言が採用され、

頸髄損傷があることを前提にした和解となった。

他方、症状自体はAさんより現実に重いB子さんについては、

「頸髄損傷」を裏付ける客観的な画像等がないことから、

そこまでの和解とはならず、不本意な部分が残った。

しかし、Aさん、B子さんご夫妻は、長い裁判を闘ったからこそ、

当初の保険会社の主張したAさんにつき68万円余、

B子さんにつき63万円余という金額を、

各々大きく上回る和解に漕ぎ着けるとともに、

保険会社の「詐病」呼ばわりを打破することができたのである。

勝利的和解の結果にほっと一息つくご夫妻の笑顔誇らしげであった。
                            

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