確かに、
核家族化、少子化、20年後には40%に達するという単身化の中で、
「血縁」は狭まり、薄れている。
雇用の流動化、地域社会の崩壊の中で、
「地縁」も狭まり、薄れている。
長引く不況、終身雇用制の崩壊、不安定雇用の増大の中で、
「社縁」もまた狭まり、薄れている。
人と人とのつながり、絆を表す「縁」は、急速に狭まり、薄れつつある。
しかし、他方で、
交通機関の高速化と拡大・発展は、
人と人との物理的・時間的距離を急速に縮め、
行けなかった地に行き、出会うこともなかった人と出会う。
携帯電話のめざましい発達と普及は、
一年に一度しか話すことのなかった遠くの孫が、
おじいちゃんに「お父さんに叱られた。」と
リアルタイムで内緒の電話をする。
更にネット社会の発展は、
人と人との物理的・時間的・空間的距離を一気に縮め、
言葉や人種・民族・宗教の高い壁を軽々と飛び越えて、
地球規模で連帯と絆を生み出す。
旧来型の「縁」は狭まり、薄れつつあるが、
そうそう悪いことばかりでもない。
これに代わる新たな「縁」が創り出されているのも確かである。
「縁」という、不可思議な概念も、
実は、社会の変化と発展の中で、紡がれていくのだろうと、思う。