ビキニ環礁が世界遺産登録−負の世界遺産に学ぶ〜31号(2010年8月11日)弓仲

海@縮小.jpg  @.bmp  冷戦時代にアメリカが繰り返し核実験を行い、

 日本の「第五福竜丸」の船員も被曝した

 マーシャル諸島の「ビキニ環礁」が、

 「核実験の威力を伝える」ものとして、

今般、「世界遺産」に登録された。

 

 

サンゴ礁が「自然遺産」ではなく「文化遺産」として「世界遺産」に登録されるのは

異例のことだが、

 「ビキニ環礁」は、

大きな海底クレーターなど

核実験の威力を伝えるうえできわめて重要な証拠が保存されており、

その歴史を通じて人類が核の時代に入ったことを

「ビキニ環礁」が象徴していると評価してのことという。

核兵器被害を伝える世界遺産としては、

1996年に登録された「広島平和記念碑」(原爆ドーム)につぐもので、

核兵器廃絶をめざす人類の闘いの反映でもあろう。

 

  A.bmp オバマ大統領がプラハ演説(2009年4月)で

「核兵器を使用したことがある唯一の核保有国」として、

アメリカが核兵器廃絶の先頭に立つことを宣言して以来、

世界の核廃絶を目指す闘いは、紆余曲折がありながらも前進してきた。

 

本年(2010年)8月6日の広島での平和記念式典に、

05,03広島平和の塔.jpg潘基文国連事務総長が国連のトップとして始めて参加し、

「被爆者の方々が生きている間に、

格兵器が一つ残らずなくなる日を実現するよう努めよう」

と訴えたほか、

アメリカのルース駐日大使もアメリカ大使として初めて出席するなど、

前に向く変化も現れた。 

秋葉広島市長は、「平和宣言」を読み上げ、

核の傘からの離脱と核兵器禁止条約締結の先頭に立つことを

日本政府に求めた。

しかし、残念ながら、

わが菅直人首相は、平和式典出席後の記者会見で、

「核抑止力は、我が国にとって引き続き必要だ」と述べるなど、

核の傘からの離脱に消極姿勢を示している。

 

 

B.bmp  私たちは、核兵器被害を伝えるビキニや広島の「世界遺産」に学び、

「惨劇を知ることで、核兵器のない世界の実現に近きたい」ものである。

同じく、

戦争や虐殺など人間の愚かさを伝える「負の世界遺産」としては、

アウシュビッツ門縮小.jpgポーランドのアウシュビッツ強制収容所が知られている。

第2次世界大戦中にポーランドを占領したナチス・ドイツの

狂気の人種差別・抑圧政策により、

最大級の惨劇が生まれた強制収容所「アウシュビッツ」の門には

「働けば自由になる」という言葉が掲げられている。

アウシュビッツ「働けば自由になる」.jpg 

 

 

しかし、現実には、「働けば自由になる」どころか、

大多数の収容者が、

苛酷な労働と不衛生な環境、ガス室、銃殺、拷問などにより殺され、

この「門」を生きて出ることはなかった。

 

広島の原爆ドームと同様に人類の過ちを象徴し、

人間の愚かさを伝える「負の世界遺産」に学ぶことは多い。

この夏休みには、高校生の子供達を連れてアウシュビッツを訪れる。