私は、伊丹十三監督映画のファンの一人である。
ファンならずともガッカリしたのが、
この5月末に起こった「大病人」上映中の
スクリーン切裂き事件に対する東宝の『告訴せず』事件。
理由は、
「サービス業なので、御客様に迷惑・不安をかけたくない。」とのこと。
そしてその1か月後の『やっぱり告訴する』事件。
理由は、「企業の社会的責任」とのこと。
「御客様」と「社会」は、違うものらしい。
『告訴せず』事件は、
「ミンボーの女」以来の東宝と右翼・暴力団組織との関係の悪化と、
東宝内に相当数入り込んでいる右翼・ヤクザの一口株主らの
水面下の圧力に屈した結果と聞く。
なお、『やっぱり告訴する』事件の方は、
桜田門の水面下ならず水面上の圧力に屈した結果で、
自主的に社会的責任に目覚めたわけではないらしい。
勿論、最も憎むべきは、ゆすりたかりで、
いわば人の生き血を吸って生きているヤカラなのだが、
こういうヤカラにすすんで『献血』しているヤカラはもっと悪い。
伊丹監督が、こういうヤカラのために、たとえその血は流しても、
『献血』してはいかんと訴えた「ミンボーの女」の趣旨を、
その上映劇場が踏みにじってしまうとは。
政治の世界にも、人の生き血を吸って生きているヤカラがいると聞く。
ぜひとも、こういうヤカラに、
『献金』いや『献血』するのはやめて欲しいものである。