★★ 写真週刊誌「フォーカス」謝罪広告事件 ★★
※ フォーカス以外の氏名、固有名詞等は変えてあります。
1 昨年3月下旬、マスコミ各社に一通の手紙が送りつけられた。
「週刊ダレヤ」〜『坂下玲子さんを陥れるテレビジャパン便箋の怪文書』、
「週刊おれや」〜『坂下玲子 怪文書なんかメじゃないわ』、
「週刊ナンヤ」〜『坂下玲子 人気・美貌・年収4千万円に女の嫉妬』等、
そして「フォ−カス」〜『「坂下玲子の男」を暴露した怪文書騒動』である。
坂下さんは、キー局・テレビジャパンの看板ニュースキャスターである。
各種スポーツ新聞、各種タブロイド紙はもちろん、
他の週刊誌もごぞって飛びつき、スキャンダラスに報じた。
2 これらのマスコミが依拠した当の「怪文書」たる手紙であるが、
実にお粗末であった。
まず「匿名」にして、
『姦通罪にいたずら電話 坂下玲子は犯罪を侵していた!』
との書き出しで始まり、
意味不明な文章が、脈絡なく、殴り書きで続く。
常識のある者なら、
『女子中学生の悪戯書』と一笑に付する類のものである。
しかし問題は、かような稚拙な手紙に依拠して、
あたかもそのような事実があったかの如く、
或はそのような手紙を書かれること自体坂下さんの方に非があるかの如く
書き立てたマスコミの姿勢である。
3 とりわけ、写真週刊誌の草分け的存在である「フォ−カス」の記事は悪質であった。
坂下さんにも、相手とされる男性にも一切の取材もせず、
先のタイトルをその表紙及び目次のトップに掲げ、
問題の手紙の内容をあたかも事実のごとく紹介、
この手の記事は、その内容がスキャンダラスなものだけに、
大方が書かれた者の泣き寝入りに終わるのである。
だから、傍若無人に書きまくる、写しまくる。
訴訟を提起されることなど、
『名誉の負傷』とでも言わんばかりである。
が、虚偽の事実を真実であるかの如く報道されたり、
プライベ−トな生活圏に土足で踏み込まれたり、
盗み撮りされたりすることの精神的な苦痛は、
一般人も、いわゆる『有名人』も全く同じである。
以前から、報道に携わる者として、
個人の名誉・プライバシ−・肖像権等と報道の自由の衝突場面に遭遇し、
その度に問題意識を抱き考えてきていた坂下さんは、
『無視するのが一番スマ−ト』との声を聞きながらも、
抗議の声をあげることの大切さを感じ、
勇気を持って、「フォ−カス」に抗議することを決意し、
当職に依頼した。
4 当初、「フォ−カス」側は、
『記事は、坂下さんが不倫したとの事実を報道したものではなく、
「怪文書」騒動に巻き込まれた渦中の坂下さん、との趣旨に過ぎず、
理由なく坂下さんを非難中傷したものではない』
と問題をすり替え、
また写真撮影については、坂下さんは『有名人』だから、
問題ない、報道の自由の下許されるとした。
これに対しては、
『記事は、坂下の名誉を毀損し、
写真は、坂下のプライバシ−及び肖像権を不当に侵害したものである』
『そもそも、報道の自由が憲法で保障されているところの理由は、
これが民主主義の根幹を支えるものであるからである。
当該記事及び写真は、専ら営利目的に基づくものであり、
およそ民主主義を支えるところの報道の自由とは無縁のものである。』
と主張し、謝罪広告及び慰謝料を請求した。
5 約半年の交渉の結果、「フォ−カス」側は、
謝罪文の掲載か慰謝料の支払いかのいずれかをなすことを最終回答し、
坂下さんは、謝罪文の掲載を選択した。
そして、平成5年△月○日号の「フォ−カス」本文記事の末尾に、
以下の謝罪文が掲載された。
お詫び
本誌平成5年□月×日号に掲載した
坂下玲子氏をめぐる怪文書に関する記事が、
同氏のプライバシ−を侵害し名誉を毀損した
という同氏のお申越しにつき、
誤解を生ずる部分があったことをお詫びします。
編集部
6 坂下さんは、謝罪文は十分なものとはいえないが、