★★★ その1.健康を無視した配転・解雇との闘い★★★
1 千葉県K市のS子さん、

大阪に本社のあるT婦人服販売会社が
K駅前のA百貨店に出店するに際し募集した派遣店員に採用された。
子供の頃の股関節脱臼の後遺症のあるS子さんは、
長時間の電車通勤は無理、最寄りの駅前百貨店なら働ける
と応募したもので、
T社もS子さんの障害を承知で採用。
2 ところが、ある日、T社はS子さんに対し、
満員電車で40数分かかる東京のB百貨店内の売り場への配転を命じた。
S子さんは、
採用時の話と違う、健康状態から長時間通勤が難しいなどと再考を求めたが、
「勤めてみてどうしても無理なら、元に戻すことも考える」との人事部長の話に、
やむなく配転を承諾。

S子さんは、配転先への満員電車での通勤を半年間頑張り続けたが、
身体がついていかず、欠勤がちになった。
忙しいキャンペーン期間に無理した後、
更に体調を崩したS子さんは、3週間の要休養との診断書を添え、
欠勤届けを出したところ、いきなり解雇通告を受けたのである。
採用時や配転時の話とは全く違う会社の強行的な対応に納得できぬS子さんは、
第一東京弁護士会に相談し、会の斡旋で私が受任。
会社と交渉を繰り返す一方S子さんは、労働組合に加盟。
会社との交渉を繰り広げること4か月。
3 結果的には、S子さんの体調の問題から裁判闘争や原職復帰にはこだわらず、
通常の予告手当ての約6倍の解決金を得て
自主退職することで和解。
「泣き寝入りせずに頑張ってよかった」という
S子さんの目にキラリと光るものがあったのが印象的であった。
S子さんは、今、
彼女の体調にあった新たな職場でいきいきと働いている。
★★★ その2.大企業の出向攻撃に抗して〜「石幡」出向解雇事件★★★
1 世界のIHI(石川島播磨重工業)では、
造船不況を口実にした大量の退職強要・人員整理が行われた。
労働組合執行部が会社の方針を簡単に了解する一方で、
退職強要に応ぜず闘い続けた人々がいた。
2 会社は、その人達に対し、
賃金や昇格で差別したり、
職場内での飲み会や球技大会から排除し続けたうえ、
工場閉鎖等を口実に、子会社への出向を命じた。
長期出張が恒常化する出向先では家庭生活が守れない、
培ってきた技能が生かせない、
IHI本体で働き続ける職場を探してほしいという当然の要求は無視され、
出向の再考を求め続けた5人は懲戒解雇。
3 被解雇者5人と異議をとどめつつ赴任にした人達が、
東京都労働委員会に不当労働行為の救済申立てをして早5年。
昨年11月には、申立人と会社側双方の最後の証人の主尋問が行われた。
解雇されたIさんが、
子供の詩などを紹介しながらこの5年間の闘いと家族の思いを凛々しく証言。
「私が懲戒解雇という屈辱的レッテルを張られてから既に5年がたちました。
子供達は、進学その他の調査票に父親の職業欄を見るたびに小さな胸を痛め、
一日も早い職場復帰を心から望んでいます。
あの懐かしい鉄粉のにおいのする工場で再び働かせてください。」
1月には結審予定の今年こそ、
弁護団の一員として、Iさん達をIHI本体に職場復帰させ、
勝利を喜びあえる年にしたいもの。
たたかってこそ明日がある...。