自殺者数は、98年度初めて3万人を突破し、
前年度比34%増の戦後最多に達し、
99年度も3万人台を維持した。
40歳前後と、50歳代後半の男性の増加が目だっているという。
そのうち働き盛りの50歳代男性の自殺は、
98年度に前年度比53.8%増の6103人の急増である。
がむしゃらに突っ走ってきた企業戦士たちが、
人生を喪失したかのように、
スーツホームレスになって街をさまよい、
或いは死の淵を覗き込んでいく。
現在進行中の高齢化社会を現に支える世代が
自分自身を支えきれなくなっている。
青春真っ只中のキラキラ輝くシンボルであった「セブンティーン」が、
今年は、恐怖と不可解世代のシンボルになってしまった。
孤独な子供達の絶望のまなざしは、
闇の向こうに、他者をそして自己を傷つけることでしか
突破口を見出せなかったのであろうか。
近い将来の本格的な高齢化社会を支える世代が荒れている。
出生率
は、70年代半ばから続く少子化傾向の下、
働く女性の増加と
仕事と子育てを両立させる諸条件整備の遅れが
その背景にあることは勿論ながら、
この数値は、
女性の進路選択としてまだまだ圧倒的多数を占める専業主婦層を含めたものである。
過酷な競争社会を乗り切る為に、
孤立した核家族が選択するのは少数精鋭主義なのであろうか。
遠い将来の高齢社会を支える世代が少なくなってきている。
当然の成り行きであろうが、
人口の自然増(出生数から死亡者数を引いたもの)も、
99年度、過去最低となった。
生まれにくく、生きにくいこの日本は、
先すぼまりの逆ピラミッド型の世代構成の下で、
高齢化社会の21世紀をどう生き抜いていくのだろうか?
21世紀、22世紀、23世紀
・・・そして誰もいなくなった・・・
なんて話しは、
猛暑の夏の夜に広げるクリスティのミステリーの世界だけに
とどめておいてほしいものである。