たんぽぽ法律事務所

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           ★★★ 東京高裁で原告ら勝訴の判決 〜千葉県は上告を断念 ★★★

 

1  1979年4月、千葉県市川市原木で、

無許可営業の産業廃棄物処理場の土手が決壊した。

流出した大量のヘドロに周辺の事業者や作業員宿舎などが次々に飲み込まれ、

宿舎で生活していたTさん一家や

荷下ろし作業に従事していたトラック持込みの下請業者Hさんらが

ヘドロの濁流に流され

生死の境をさまよったあげくTさんの乳児(生後7ヵ月)が死亡した。 

2  無許可の産廃業者Nが設置していた産廃処理場は、

当時約5.5メートルの高さの土手に囲まれた、

縦120メートル横60メートルの大きなものであった。

その設置方法は、コンクリート屑を含んだ土砂等で土手を築き、

その中に汚泥を投棄して天日乾燥し、

乾いたものを更に土手に積上げ嵩上げを図るという杜撰なもので

土手は汚泥の水分が浸透して柔らかくなり、

かねてから小規模な漏水事故を繰り返していた。

他方、 事故の前年の12月及び事故直前の4月

千葉県の担当者が、

本件流出事故を起こした第一処理場の近辺(第二処理場等)

現地調査をしており、

産業道路に面し5メートル以上の高さを有し、目につきやすい存在であった

本件事故現場の危険性を県知事は十分認識し得たはずである。 

 

3 また、県知事には、廃棄物処理法に基づき、

処理場が安全性等の基準を満たしていなければ、

改善命令や使用停止を命じ、立入り検査や、措置を命令する権限がある。

県知事が、右権限を適正に行使してさえいれば、

悲惨なヘドロ流出による被害は防げた筈である。

Tさんたち被害者は、1982年、業者Nと千葉県等を相手に千葉地裁に訴えを提起した。 

 

4 千葉県は、事故以前には、

本件処分場が危険な状態にあったことは予見できず

手落ちはなかった等と争い、

県の現地調査をした担当者も、

第一処理場には気付かなかったと不自然な証言をした。

しかし、1990年3月、千葉地裁は、

県の産業廃棄物行政を鋭く批判し、

業者Nの責任とともに、千葉県の損害賠償責任(Tさん一家に2700万円余ほか)

を認める原告勝訴の判決を言い渡した。

 

5 1991年11月29日、東京高裁は、一年余の審理を経て、

千葉県側の控訴を棄却し、

一部損害額を上積みしたほかは、

一審判決の結論を支持し、千葉県の責任を肯定したのである。 

高裁判決は、

県の担当者には、第二処理場のみならず第一処理場も含めて実態を把握し、

現地調査をする義務があったと県の姿勢を批判。

被災者らが危険発生を監視し得た以上、自助努力を尽くすべきであったという

県の主張も、必要な努力はしていたと退けた。 

 

6 当然とは言え、行政に厳しい批判を突きつけた高裁判決と県の上告断念に、

困難は多かったが、

「頑張ってよかったね」と、原告達と笑顔の交歓。

その夜の酒のうまかったこと。

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