
首切りに泣く労働者、医療過誤や公害・薬害の被害者、
営業マンの違法勧誘による取引被害者など
司法に救済を求める社会的弱者にとって、
今の「司法改革」の動きは心配だ。

導入が提案されている「弁護士報酬の敗訴者負担制度」は、
社会的・経済的弱者である普通の市民にとって、
証拠が偏在し困難が予想される行政訴訟や
医療過誤・証券取引・先物取引・変額保険などの特殊訴訟は勿論、
一般民事の訴訟すら、勝訴確実な例外を除いて、
訴え提起を躊躇させることになろう。

その一方で、
証拠が手元にあり、かつ資金潤沢な企業(銀行、貸金業者等)
からの訴えはより起こし易くなり、
「負けると原告の弁護士費用も負担していただきます。」
との威嚇の下で、本来なら争い得る事件まで、
早期の和解で不本意な支払いを余儀なくされかねないのである。
弱者の人権擁護と救済に役立つ真の「司法改革」をめざして、
「危険な動向」への警鐘を鳴らしたい。