たんぽぽ法律事務所

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                ★★ 東京地方裁判所における勝訴的和解 ★★

 25年前乳癌のため左乳房全部摘出手術を受けた

育江さん(仮名、65歳)、癌の恐怖から解放されたものの、

左胸に残る癌の爪痕−肋骨の浮き出た大きな手術痕は、

水泳インストラクタである育江さんに

仕事の度に乳癌の記憶を呼び起こした。

好きな温泉旅行もパッタリ止めた。

2 育江さんは、乳房再建術でもとの乳房の形取り戻せば

人目を気にせず温泉にも行けるようになる

−と話すテレビの中の谷部医師のにこやかな笑顔に惹かれて、

そのクリニックを訪れた。

その日のうちに乳房再建術を受けることが決まった。

① 背中の広背筋を大きく切り取って

左胸にもってきて(広背筋皮弁術)、

 

その中にエキスパ ン ダーを挿入する手術を受け、 

② その後エキスパンダー内に

少しずつ生理食塩水を注入してしかるべき大きさにし、 

③ 次にエキスパンダーとシリコンを交換する手術をし、

 

④  更には乳輪・乳頭の再建を作る手術を受ける 

 

 

という長期間かけての大がかりな手術であった。

①③④の手術は谷部医師の勤務する大学病院で谷部医師の執刀のもと受け、

②は谷部医師の経営するクリニックで実施することになった。 谷部医師は、育江さんに①の手術後1ヶ月間は水泳の仕事は禁止であると注意した。

 

3  上記①の最初の手術は成功し、

術後ケアと上記②の過程に移行するため育江さんはクリニックに通院を始めた。

手術後2週間もたたないうちに

谷部医師から水泳の仕事を再開しても良いとの許可が出た。


その1ヶ月後水泳の仕事があった夜、

育江さんの身体に異変が生じその後憎悪していった。

背部・胸部の術創部は赤く熱をもって腫れて痛み

食欲不振、全身倦怠感、不眠等の症状が

年末年始を挟んで1ヶ月近くも続き

年末頃からは終日寝たり起きたりの生活となり、

年明けには顔に浮腫も出現した。

この間育江さんは、数日おきにクリニックに通い、症状を訴えたが、

谷部医師は血液検査・尿検査という基本的な検査すらせず、

場当たり的な治療を続けた

1月13日深夜異変に気づいた近くに住む息子さんに連れられて、

育江さんは、手術を受けた大学病院に緊急入院した。

大学病院ですぐに実施した血液検査・尿検査で血尿、蛋白尿、

クレアチニン値(腎機能の目安)の異常、CRP値(炎症・感染の目安)

の異常が認められた。

エキスパンダーの緊急摘出手術が実施され、かつ諸検査を実施した結果、

感染症に伴う急速進行性糸球体腎炎を発症しかつ腎不全に陥っていることが判明した。

短期間に大量のステロイド剤を点滴投与するパルス療法を2度実施した結果、

育江さんは人工透析を免れた。

 

約半年間の入院により腎臓はかなり回復したが、

血尿は続き、

背部に常時重圧感(「重たい米俵をしょっている感じ。」−育江さんの言葉)が残り、

ステロイド投薬治療も続いた。

 


4 退院3ヶ月後、育江さんに新たな苦しみが訪れた。

突然左股関節に痛みとしびれが出現し歩行困難に陥った。

大腿骨骨頭壊死症を発症していた。

人工骨頭に入れ替える手術を余儀なくされた。

 


5 背部の重圧感を少しでも和らげようと、

  毎日仕事帰りに寄って母の背中のマッサージを続けていた

  息子さんが、

  ある日インターネットで医療問題弁護団のことを知った。

  躊躇する育江さんを励まして医療法律相談を受けた。

 


6 2006年11月、東京地方裁判所に提訴した。

主たる争点は、

A.クリニックの通院期間中異常症状を訴えていたにも拘わらず

  血液検査・尿検査という基本的検査を怠った結果、

  急速進行性糸球体腎炎の発症を見逃しこれを悪化させた過失

B.Aの過失・ステロイド大量投与・大腿骨骨頭壊死症−この三者の因果関係

  であった。
 

被告は、

Aにつき、育江さんに異常症状は認められず、谷部医師に訴えもしなかったとし、

Bにつき、大腿骨骨頭壊死症の原因は不明であり、

 仮にステロイドに起因していたとしても、

 それは大学病院におけるステロイドの過剰投与によるもので、

 谷部医師の治療行為との因果関係はないとして、

激しく争った。

 

しかし、本人及び証人尋問に入る以前の段階で

裁判所によりABを概ね認めることを前提とする和解が強力に押し進められ、

本年9月、

損害額の75%にあたる1500万円を被告に賠償させる和解が成立し、

提訴から10ヶ月医療裁判としては早期の解決が実現した。

 


7 育江さんは生き甲斐でもあった水泳の仕事は当然辞めざるを得ず、 

育江さんの足であったバイクにも乗れなくなった。

血尿と背中の重圧感はいまなお続き、

そして、左胸には癌の爪痕が改めて刻印された【冒頭の図−育江さんの自画像】。    

しかし、育江さんは、「もう振り返るのはやめました。」と明るく笑って話し、

その横には、母を思い、沈着冷静に 行動した息子さんが優しく微笑んでいた。

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