オウム確定死刑囚13名全員死刑執行! 世界に衝撃 〜(2019年1月1日)弓仲
1 昨年7月6日と26日に
オウムの確定死刑囚13名全員の死刑が執行された
(6日7名、26日6名)。
とりわけ麻原が執行された6日は、
テレビ各局が麻原ら元幹部の死刑執行前から
「法務省は……死刑執行手続を始めた」
などと一斉に報じ始めた。
フジテレビより(HUFFPOST)
フジテレビに至っては、
悪趣味にも死刑囚の顔写真を貼り付けたパネルに、
「執行」の情報が入る度に
「執行」のシールをぺたぺたと貼っていった。
あたかも選挙報道で「当確」を打つように。
特報テロップが真っ先に流れたという日本テレビは、
早朝から東京拘置所前、広島拘置所前、オウム後継団体アレフやひかりの輪の本部前に
レポーターとカメラを配置し「死刑執行」に備えた。
NHKも、
朝7時に東京拘置所に入っていく法務省職員(執行に立ち会う検察官か)
の姿を映像でとらえ執行を伝えるニュースで放映した。
2 戦後の死刑報道は、今までは、
「執行」後に法務省などの発表に基づく「事後報道」であった。
当該死刑囚も当日の朝、突然知らされ刑場に連行される。
このような死刑執行の秘密情報が、
今回は、法務省筋から事前に漏らされ、
派手派手しくもグロテスクなマスコミ報道をあおったのではないか。
3 6日の執行後の上川陽子法務大臣(当時)の記者会見では、
執行の事実のみ述べるだけで、
なぜこのタイミングだったか、
なぜこの7人だったのか、
再審請求中の死刑囚までなぜ執行したのか
等々の肝心な点は何も答えなかった。
13名中の10名は再審請求中だったという。
上川法務大臣は、死刑執行前夜、
西日本での記録的豪雨の予報が出ていたにもかかわらず、
「赤坂自民亭」と称して
安倍首相、岸田政調会長ら幹部と若手・中堅議員との宴会に参加、
「女将」然と振る舞い「和気あいあい」(安倍首相のことば)と楽しんだという。
何たることか?!
日刊ゲンダイは「死刑に乾杯」と批判的に報じた(冒頭写真)。
4 欧州連合(EU)28か国とアイスランド、ノルウェー,スイスは、
「被害者や家族には心から同情し、テロは厳しく非難するが,
いかなる状況でも死刑執行に反対する。
死刑は非人道的、残酷で犯罪の抑止効果もない。」
等とする共同声明を発表し、
「死刑制度の廃止」を求めた。
国際人権救済機構アムネスティは、
「彼らの犯行は卑劣で,罪を償うのは当然」だが、
「処刑されたところで決して償いにはならない。
正義の実現には真相究明が欠かせない。
…全ての人の人権を尊重してこその正義である。
人権を否定し、真相究明の機会を奪う死刑は正義とはほど遠い。」と批判。
5 私たちの仲間でオウムに殺害された坂本弁護士一家のことを思うと胸が痛むし、
被害者遺族の厳罰(死刑)を望む応報感情にも配慮は必要とは思う。
しかし、冤罪事件が後を絶たない現状の改善に尽力しつつ、
万一にでも無辜の死刑執行という取り返しのつかない事態となることは
絶対に避けねばならない。
公権力の行使たる刑罰の執行(公権力の活動の結果)には、
公権力が熱心に犯罪を取締り処罰しようと努力すればするほど、
虚偽「自白」強要→冤罪につながるリスクが大きくなる。
多数の死刑廃止(或いは執行停止中)の先進国に続き、
代替刑(終身刑)を検討してでも、
早期に死刑制度の廃止に足を踏み出そう。