翁長雄志沖縄県知事急逝〜(2018年8月15日)弓仲
翁長雄志沖縄県知事急逝!
凄絶な最期まで辺野古新基地建設反対を貫いた
翁長氏の不屈の信念・遺志を受け継ごう!

1 辺野古新基地建設阻止に命をかけて取り組んできた翁長雄志沖縄県知事。
8月8日夕方のニュースで、
翁長さん意識混濁との報を受け心配していたところ、
間もなく、
翁長さん逝去の臨時ニュースのテロップが流れた。
ショック……。
2 安倍内閣による沖縄への基地固定化政策、新たな米軍のための辺野古新基地建設工事の強行は、反対するオール沖縄などの多数の県民の声を問答無用と徹底的に無視しするもの。

2014年11月の知事選挙では、
従前の保守vs革新の枠を超えて、
保守の政治家で自民党県連の幹事長も務めた
前那覇市長の翁長さんが、
辺野古新基地建設阻止をかかげ、
保守革新を超えオール沖縄の候補として立候補。
反対世論を踏みにじって前年暮れに
辺野古埋め立てを承認した仲井真弘多知事(当時)との一騎打ち。
結果は、翁長さんが約10万票の大差をつけ現職知事を打ち破り当選。
引き続く同年12月の総選挙では、
沖縄県の全ての小選挙区(1〜4区)で
辺野古新基地建設反対を掲げるオール沖縄推薦の候補が勝利。
普天間飛行場の辺野古への移設案推進を掲げた自民党の全候補は小選挙区で落選。
辺野古移設案を拒否する沖縄の民意は、
長年の政府からの札びらを切ってのアプローチにもかかわらず明確であった。
3 しかし、安倍政権は、
辺野古新基地建設反対を貫く新知事翁さんに対し、
陰湿ないじめと報復を続けた。
仲井真前知事時代には増額を続けて沖縄復興予算を、
翁長さん当選後には、160億円も減額した。
知事就任挨拶で上京した際も安倍首相のみならず、
菅官房長官ら政権幹部は翁長知事とは会おうとしなかった。
安倍官邸は公安などを使い、
ありもしない翁長スキャンダルを必死で探させ、
デマ情報をリークし翁長バッシングを展開。

米軍属による暴行殺人事件、
相次ぐヘリコプターの墜落、
保育園・小学校への落下物等々、
翁長さんは
強い態度で原因究明と再発防止を
米軍及び日本政府に求め続けたが、
安倍政権は
そのたび不誠実な対応に終始した。
2015年9月の辺野古移設を巡る集中協議で、
やっと出てきた安倍首相に直接話す機会を得て、
翁長さんは、
「総理の『日本を取り戻す』という中に沖縄が入っているんですか。」
「『戦後レジームからの脱却』というが、
沖縄の現状を見ると戦後レジームの死守ではないか」などと迫ったが、
安倍首相は何の反応も見せず無視したという。
4 政府は、2014年から2年間、辺野古・大浦湾をボーリング調査。
2018年3月にやっとボーリング調査のデータが公開された。
公開データによれば、大浦湾の底は、専門家が「マヨネーズ層」と呼ぶほどの軟弱地盤であり、活断層の存在も疑われる。
こんなところに巨大な米軍基地を建設するというのは危険極まりないだけでなく、大掛かりな地盤改良や設計変更も必要となり、工事費のさらなる増大が見込まれる。
当初の工事試算額3500億円が、今では1兆円を超えると予想されるが、この巨額費用は全て私たちの納める税金で賄われる。
さらに、辺野古・大浦湾は、
262種の絶滅危惧種を含む5800種以上の海洋生物が生息する豊かな海である。
埋められようとしている海は、ジュゴンの食料の海藻が豊富に生えるジュゴンの餌場。
貴重な希少サンゴも確認されている上、浜はウミガメの産卵場となっている。
この海を一旦土砂投入で埋め立ててしまえば、取り返しのつかないことになる。

5 防衛省沖縄防衛局は、2017年4月に護岸増造成工事に着手し、

砕石やブロックを積み上げ、
海の一部を囲い込んだ。
反対する民意を無視して工事を進め、
抗議する人々を
全国から動員した機動隊員の手で
強引に排除し、
逮捕者まで出した。
いまや、2018年8月17日に
辺野古の海に埋め立て土砂を投入するという。
6 土砂投入を阻止すべく、7月27日には、
膵臓ガン手術後の療養中の翁長さんが辺野古埋め立て承認につき、
承認後の工事に違法性があるという理由で撤回する手続を開始すると表明。
撤回に必要な聴聞も8月9日に設定された。

ところが、8月8日、翁長さん自身による承認撤回を目前にして、
無念にも翁長さんは逝去された。
沖縄出身の安室奈美恵さんも
「沖縄の事考え、沖縄の為に尽くしてこられた翁長知事のご遺志がこの先も受け継がれ、これからも多くの人に愛される沖縄であること願っております。」
との追悼のメッセージを発表した。
なお、NHKニュースでは、安室メッセージにつき、恣意的な編集がなされ、上記引用部分を丸ごと消して放送した。
安倍政権への忖度極まれり。
7 8月9日、沖縄防衛局から聴聞を実施、聴聞終了。撤回への手続は前進。
8月11日 の
「土砂投入を許さない!ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める8・11県民集会」には、
台風の接近で断続的に激しい雨が降る中で開催されたが、約7万人が那覇市に集結。


同日、東京でも
「埋めるな!辺野古
沖縄県民大会に呼応する
8・11首都圏大行動」
が行われ、
約2800人が参加し集会後池袋の町をデモ行進。
他に、北海道、大阪、福岡等でも行動。
県民集会で、
知事職務代理の謝花喜一郎副知事は、
「翁長氏が命を削って建設反対を貫こうとした姿勢は後世までまで語り継がれる。
知事の思いを深く受け止め、
……辺野古に新基地を造らせないという公約の実現に向けてとりくみたい。」と述べ、
埋め立て承認撤回方針を継承する考えを示した。
翁長さんの次男雄治氏は、語り、呼びかけた。
「父は生前『沖縄は試練の連続だったが、ウチナーンチュ(沖縄の人)が心を一つに闘うときには、想像するよりはるかに大きな力になる』と何度も言っていた。」
「最後の最後まで、どうすれば辺野古新基地建設を止められるのか、病室のベッドの上で資料を読みあさり、頑張っていた」
「父に辺野古新基地が止められたと報告できるように頑張りましょう!」

8 命を削って辺野古新基地建設反対を貫いた翁長さんの遺志を受けた承認「撤回」。
その通告により、安倍政権は、辺野古埋め立ての法的根拠を失う。
工事、土砂投入をストップせざるを得ない。
「撤回」を巡っては国の提訴による法廷闘争が始まろう。
9月30日(投票)の知事選挙では、
翁長さんの遺志を引き継ぐオール沖縄の候補の当選を勝ち取り、
新基地建設ストップの沖縄県民の願いを前進させたいもの。
「負けない方法は、勝つまでずっと諦めないこと」と長年にわたり、
辺野古新基地建設に反対し、座り込みなどの抗議活動を続ける沖縄の人々。
他方、沖縄の人々に基地負担の大半を押しつけたまま、
日米安全保障条約上の「利益」をのほほんと享受し続けている本土の人間。
その一人として、沖縄の痛みを我がこととして受け止め、
辺野古新基地建設を強行する安倍政権に抗議の声を届けたい。
