集団的自衛権で「戦死者」が!?〜(2015年1月1日)弓仲

昨年7月1日の集団的自衛権行使容認「閣議決定」。
新たな段階に進んだ憲法9条の「改憲」の動きは、
総選挙での安倍政権与党の「勝利」(3分の2の確保)で、
勢いを増すのではないかとの不安が一瞬頭をよぎる。
しかし、総選挙後の各種世論調査によれば、
集団的自衛権行使容認等の安保政策や憲法改正に過半数が反対という。
選挙結果は、安倍政権に白紙委任状を与えたものではない。
安倍首相の改憲への執念、歴史認識問題、靖国参拝、
ネオナチ団体との親和性を指摘される複数大臣の任命等は、
安倍晋三のルーツ岸信介との深い関わりが想起される。
安倍首相は、母方の祖父岸信介につき、
その墓参にマスコミを引きつれアピールするなど、
ことあるごとに語ってきた。
しかし、安倍首相の父(安倍晋太郎)方の祖父安倍寛については語らない。
何故か。
父方の祖父安倍絰は、
戦争一色の大政翼賛議会の中で
「戦争に反対した」からでなかろうか。
安倍絰は、
「大東亜戦争中、軍部に反抗して
〃反東条〃を貫いた気骨ある政治家」、
「東条英機らの軍閥政治に反抗、
無所属で翼賛選挙に歯向かい当選した、筋金入りのハト派」などといわれる。
安倍首相は、
思想的には両極にあった二人の祖父のうち、
母方の祖父(タカ)のDNAしか受け継がなかったのではあるまいか。
安倍首相は、集団的自衛権行使の具体例の一つとして、
国際的な機雷掃海活動への参加をあげる。
しかし停戦前の機雷掃海活動は戦闘行為そのものである。
朝鮮戦争当時、アメリカの要請で、吉田茂首相は、
極秘に海上保安庁所属の「日本特別掃海隊」を派遣した。
1950年10月、「日本特別掃海隊」の掃海艇が、
戦闘地域であった韓国の元山沖で機雷に接触して沈没。
海上保安官中谷坂太郎氏が殉職、
18名の海上保安官が重軽傷を負った。
この極秘の機雷除去は、明白な憲法9条違反の「集団的自衛権行使」であった。
当時の政府は、憲法違反の「集団的自衛権行使」の発覚を恐れ、
中谷氏の殉職(「戦死」そのもの)を隠蔽、
「日本特別掃海隊」の存在すら公表せず、隊員たちにも箝口令を敷いたという。
占領下とはいえ明白に憲法違反・非合法の「集団的自衛権行使」を秘密裏に行い、
1名の「戦死者」を出していたのである。
もし、「集団的自衛権行使」が大手を振ってまかり通るようになれば、
自衛隊員の犠牲者「戦死者」が次々とでかねない。
改憲勢力が引き続き衆議院で3分の2を確保したとはいえ、
安倍政権の暴走は、
さまざまな分野で国民との矛盾を激化させるであろう。
「集団的自衛権行使容認の閣議決定」や「憲法改正」を支持するよりも、
批判・反対する世論が常に多数を占めている
最近の世論調査の結果は励みにもなる。

「9条の会」、「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会など
憲法擁護を願うさまざまな人々とともに
草の根からの運動で批判の声を広げ、
安倍内閣の暴走にストップをかけるべく力を合わせたいものである。