ナチスの手口に学べ〜(2013年8月15日)弓仲
「ナチスの手口に学んだらどうかね」
−麻生太郎副総理・財務大臣発言に思う
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「ある日気づいたら、
ワイマール憲法がナチス憲法に変わっていた。
誰も気づかないで変わった。
あの手口に学んだらどうかね。」
国家基本問題研究所(理事長桜井よし子氏)主催の
シンポジウムでの麻生副総理・財務大臣の発言である。
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ナチズム肯定の暴言として内外の批判が殺到し、
麻生氏は、公の場に自ら登場し、
「喧噪にまぎれて十分な国民的理解・議論のないまま進んでしまった悪しき例」
としてあげた発言が、
真意と異なり、誤解を招いたことを遺憾に思う、
撤回したいと語った。
「悪しき例として、
ナチス政権下のワイマール憲法の経緯を挙げた。
私がナチスおよびワイマール憲法にかかる経緯について、
極めて否定的に捉えていることは、私の発言全体から明らかだ」
とも弁明。
政府自民党は、ナチス発言は撤回されたから問題なしとの立場で、
麻生副総理をかばっている。
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しかし、麻生副総理の弁解はおかしくないか?
麻生氏は、自民党の改憲草案肯定を前提に、
憲法改正を為し遂げるべきとの立場である。
当時、立憲主義・民主主義の先進的な憲法であったワイマール憲法が
ナチス憲法(「授権法」による「ワイマール憲法」の機能停止)に変わった、
誰も気づかないで変わった。
「その手口に学べ」というのが、麻生発言である。
現憲法否定の自民党改憲草案を
「ナチスの手口に学んで」「誰も気づかない内に」実現したい。
市民やマスメディアを手なずけて、
大多数の国民に気づかせないままに、
憲法を改正し、自民党の草案を実現したい。
国民よ、マスメディアよ、騒いでくれるな。
これが麻生氏の願望であり、
身内である改憲派内のシンポジウムでつい、本音が出たということであろう。
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また、「ワイマール憲法」の機能停止は、
「誰も気づかないで」為されたものではく、
自作自演のドイツ国会議事堂放火事件等を使っての、
ナチスによる共産党・社民党・労働組合等の弾圧や
無法な暴力の嵐の中で実現したものである。
ナチスのホロコーストに思いを致すとき、
このナチスの手口を肯定的に学べという麻生発言は、
「誤解」を与えた「失言」で済まされるものではない。
日独伊三国のファシズムと侵略戦争を否定する戦後の国際秩序を無視し、
村山談話の見直しに言及し、日本の侵略を認めようとしない、
安倍首相・内閣の「価値観」を、乱暴ではあっても正直に体現したのが、
今回の麻生副総理発言だったといえるのではないか。
今般の麻生発言批判し辞職に追い込むとともに、
憲法9条、憲法96条、憲法97条、憲法前文その他現憲法の根源を否定し、
立憲主義を否定する自民党の改憲草案断乎拒否の声を広げたいものである。
以上